皆さんこんにちは。ルーペです。突然ですが最近気づいたことがあります。それは納期遅延したらとりあえず半導体不足で~って言っておけばいんじゃね?ということです。
上司「そういえば先日頼んだ〇〇どうなった?」
私「(やべっ!発注してねえ!)まだ来てないですね。。。最近は半導体不足で納期が遅延してるので遅くなってるのかもしれません」

でも大体そういう時に限って承認ルートに直属の上司がいるんですよね。
ということで、本日は最近話題の半導体不足について説明しようと思います。
そもそもなんで半導体って必要なの?
はい。まずは原点回帰です。不足するしない以前にそもそもなんで半導体って必要なん?って思う方が多いかと思います。それについて解説しようと思います。
スマホやパソコンが動作する原理
一見関係なさそうな話に感じますが、半導体の必要性を知る上で非常に大切なことです。これを知れば「だから半導体って必要なのか!」ってなります。大丈夫です。そんなむずかしくありません。
まずあなたがスマホでゲームする場面を想像してみてください。

スマホでゲームをする際、あなたはゲームのアイコンをタップしますね。するとゲーム画面が起動すると思います。
普段意識しないと思いますが、これはゲームを作っているプログラマーが
「アイコンをタップしたらゲームの起動画面を表示せよ」
という風にプログラミングしているからなのです。
しかしここで問題です。スマホは「アイコンをタップしたらゲームの起動画面を表示せよ」という命令を理解できません。そもそも日本語だし。しかもこれ、プログラミング言語で命令をしてもスマホさんは理解できないのです。

ならそもそもなんの言語なら理解できるん?と思いますね。ここで登場するのが二進数です!二進数の細かい話は「二進数とは」でググれば出てきます。簡単に言えば皆さんがIT関係の画像で検索した時に背景で出てくる「0101010010101010・・・・・」です。

まあ簡単に言うと
「アイコンをタップしたらゲームの起動画面を表示せよ」
↓翻訳
「010001010100101010・・・・・・」
↓
実行!
みたいな感じです。ちなみに翻訳された後の「01010101・・・・・」を文字通り機械語といいます。(まじで専門用語です。)
さて、さらに疑問です。なぜコンピューターは01ならば理解できるのでしょうか?
それはスマホの中のCPU(演算装置で、人間でいう脳みそです)は、CPU内部の電圧のON・OFFで0、1を理解しているからです。(※実際はもっと複雑ですが、イメージしやすいようにこのように説明しています。)
なので、機械語で「0101」と命令されたらCPU内の電流を「off on off on」のように切り替えて、その情報を記録し処理を実行するという流れになってます。
ON・OFFの切り替えはどうやってるの?
さて、ここで問題が生じてしまいます。どうやってONとOFFの切り替えを行いましょう。
簡単に思いつくのは下の図です。

こちらの回路のスイッチをつないだり切ったいにすれば一応電圧はON・OFFになります。ちなみに上の画像は機械式スイッチ(リレー)を使っていることを想定してみます。リレーというのは、ググればわかりますが、簡単に言えばボタンを押すことで物理的な回路を接続し電流を流すことでON・OFFにしているスイッチです。
しかしこれには問題があります。それは
- スイッチング周波数
- 電力損失
- 小型化
です。ではそれぞれ見てきます。まずスイッチング周波数です。スイッチング周波数ってのは簡単に言えば1秒間にどれだけ0と1を切り替えられるかです。最近のCPUは大体3GHzくらいです。つまり、1秒間に3,000,000,000回0と1を切り替えています。はい、皆さんお気づきでしょう。スイッチを1秒間に3,000,000,000回も開けたり閉じたりするのは無理です。ちなみに某名人は1秒に16回です。
続いて電力損失です。下の図を見ていただければわかるのですが理想的なON・OFFの切り替えはONの瞬間に電圧が立ち上がり、OFFの時に電圧が立ち下がる時です。

しかし、現実では、下の図のように立ち上がり、立ち下がりに少し遅れが生じてしまいます。この遅れが多ければ多いほど損失が大きくなってしまい、消費電力が多きくなってしまいます。

三つ目は小型化です。CPU内の集積回路の大きさは、配線と配線の間がナノレベルです(0.000001mm位)。ポチポチ押すようなスイッチをこんなにも小さくすることは無理です。
最強スイッチトランジスタ登場!!
そこで登場したのがトランジスタです。名前は聞いたことがあるかもしれません。

このトランジスタなのですが、大きな用途として信号の増幅と電流のON・OFF(スイッチング)があります。信号の増幅についてはここでは触れません。ここでは主にスイッチとしてのトランジスタを取り上げていきます。
以下の図にスイッチとしての簡単な原理を書いておきます。簡単に説明すると、ベース電流が一定以上流れたら導通(つまりON)、流れていなかったら開放(つまりOFF)と思っていただければ大丈夫です。
ポチポチでスイッチをON・OFFにすることを高速で行うことはかなり難しいですが電流値を制御することによってスイッチを高速にON・OFFにするのは割と簡単なんですね。極端な話家庭用電源をベース電流につなげて、ベース電流が0以上になったらスイッチONになるようにすれば50Hz(1秒間に50回ON,OFF)のスイッチなんて簡単に作れてしまいます。(このような接続をする機会はあまりないので、あくまでイメージとして持ってください。実際は水晶発振器がなどが使われます。)
そのため、スイッチの周波数に関しては、機械式のスイッチよりも断然速いです。それに加えて、応答性も非常に優れています。それによって消費電力も小さいです。
また、トランジスタは小型化が大変容易です。実際には半導体を使用して作られたトランジスタそのものを小さくするというよりかは、半導体でできた回路の中にトランジスタを埋め込む(これを集積回路といいます。次節で説明します。)といったイメージです。これによって、今のCPUが高速、低消費電力となり、技術が爆速で発展しました。
トランジスタを大量に乗せるために登場した集積回路
先ほどトランジスタの小型化に関して、半導体でできた回路の中にトランジスタを埋め込むといいました。これはつまりどういうことか。この章で説明します。
前節で紹介した足が三本生えているトランジスタは、ディスクリートトランジスタと言って、銀の部分に導線などをはんだ付けとかして、トランジスタ単一としての機能を実現するタイプです。

ただ、それだと小型化の面でデメリットが生じてしまいます。CPUには、大体3cm×3cmの上に10億近くものトランジスタを乗せる必要があります。そのほかにもダイオードなどの素子を乗せる必要があります。
そこで考えたのは、「トランジスタもダイオードも同じ半導体からできてるんならわざわざ一個一個の素子を作らずに基盤を半導体にしてそこに作り込んじゃえばよくね?」
となったのです。これが集積回路の始まりです!個人的にはこの発想が時代を変えたといっても過言ではないでしょう。
集積回路を作るために。。。
これでようやく半導体がなぜ必要なのかを説明できます。半導体がなぜ必要なのかといいますと、
このトランジスタが大量に乗った集積回路を作るために必要です。
ほかにも発光ダイオード(最近話題のLED)や、トランジスタ(ディスクリート)などを作るのにも必要ですが、メインはこの集積回路です。半導体がない→集積回路が作れない→CPUやメモリー、センサーなどが作れない。。。となっている状況です。
なぜ不足したのか
実際は様々な要因が一気に重なったことが大きいですが、ここではいったん政治的要因やコロナの影響などはいったん置いといて技術的な視点から説明しようと思います。(正直これらの影響がなくても半導体の供給は逼迫していたと思われます。)
簡単に言うと、技術が発展し、より高度な機能を実現する必要ができてしまったため、その機能を実現するために半導体が必要になってしまい、半導体の供給が需要に対して追いつかなくなってしまったからです。以下に技術が急激に発展し大量の半導体が必要になった例を記載いたします。
自動車の進化
昔の車と今の車を比較してみましょう。昔の車は、正直走れればいいというものでした。車が走るためには、最低限
- 車体
- エンジン
- 動力伝達機構(要はエンジンの回転をギヤや棒などをかましてタイヤに伝えるための機構)
- タイヤ
さえあれば十分でした。仕組みとしてはほんとに単純で、エンジンの中にシリンダー(筒みたいなやつ)というものがあり、そのシリンダーの中に燃料を噴射し、爆発させ、その爆発の際に生じるエネルギーを利用し動力伝達機構を使って回転の力をタイヤに伝えるというものです。
ただ、今の車はどうでしょう。止まる、走る、曲がる以外にも
- 自動運転
- 自動ブレーキ
- 自動追従システム
- 車線逸脱防止
- 横滑り防止
- オーディオ
- エンジンの電子制御(燃費改善)
- ・・・・・
のように、よりたくさんの機能が付くようになりました。極端な話、これらすべての機能を実現するために、CPU、センサーなど大量の集積回路が必要となってしまいました。正直もう今の車は、「走るコンピューター」といわれるように、大量のセンサーデバイス、大量の演算装置(CPU)を積んでいます。「半導体不足で自動車の納期が半年以上」と言われている要因は、この大量のセンサーデバイスや演算装置を搭載するための半導体が足りないから作れないということなんですね。
家電製品の進化
昔の洗濯機を想像してみてください。縦型の洗濯機で、洗う強さや時間はダイアル式のボタン。当然液晶画面や乾燥機などついておりません。側面についている二つのローラーの間に洗濯物を通して主導で脱水?的なことをしていました。
ですが今の洗濯機はどうでしょう。わかりやすい液晶画面。スイッチ一つで洗剤の自動投入から乾燥まで。スマホで連動も可能。AIで洗濯時間や洗濯方法を勝手に選んでくれる。。。
めちゃめちゃ発展していますね。これらの機能を達成するためにも、大量のセンサー、演算装置が必要になります。
ちなみに今洗濯機を例に挙げましたが、ほかにも
- 料理家電
- エアコン
- お風呂
などなど同じような例がたくさんあります。
スマホの利用者増加
昔は皆さんガラケーを持っていたと思いますが、今は、先進国レベルではなく、もはや世界中の人がスマホを持っている時代です。スマホには一台一台高精度なCPUが搭載されています。(ちなみに家電、自動車よりも高性能です。)しかもスマホが爆発的に普及したのは、ここ十年での話です。それによってどんどん高性能なCPUが必要になってしまいました。
急激な需要に対して供給が追い付かなくなってしまった一例です。
今後の半導体の動向
いかがだったでしょうか?上記の例に加えて、最近ではコロナでリモートワークなどが続き、パソコンや家庭用ゲーム機の需要も拡大されました。(これがコロナ渦での巣籠需要による半導体不足の要因です。)
また、今後メタバースなどの需要も増えてきます。メタバースには、大量の演算装置が必要です。というのも、メタバースは、高画質の映像を大量に出力されなければいけなく、そのためには高性能のGPU(簡単に言うと映像出力に特化したCPU)が必要になってきます。
ちなみにこのGPUは、最近話題のAIにもたくさん使われています。
そのため、今後も半導体の需要はおおきくなっていくでしょう。
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